共有不動産は、各共有者が一定の割合で所有権を所有しているのが特徴です。これを一般的に「共有持分」と呼びますが、この共有持分は自分の持ち分しか売却できない点が問題といえます。
共有持分のみを売却する際には「共有持分だけを専門に買い取ってくれる不動産買取業者」に相談するのが有効な選択肢でしょう。この記事では、共有持分を売却したい方に役立つ情報として、なるべく高額で買い取ってくれる専門業者を選定するポイントを解説します。
目次
共有持分とは?
そもそも共有持分とは「共有不動産において、各所有者が保有する権利の割合」です。
多くの場合、不動産の名義は購入者になっていますが「誰かと一緒に出資している場合」「相続時に権利が分割された」ケースでは、他の誰かとの共有状態になります。購入の場合、基本的には、出資額に応じて所有権の割合が決まり、登記が行われます。
自分の持分は許可なく単独で売却が可能
共同で購入した不動産の持分を持っている場合、その持分だけを売却できます。
例えば、夫婦で購入した土地と家について、夫と妻がそれぞれ自分の持ち分を持っていて、その割合が「夫1/2」「妻1/2」だったとします。この場合、妻は夫の許可を得ずに持ち分の1/2を単独で売却することが可能。
ただし、上記はあくまでも物理的に分割できる自分の持ち分と、土地に付随する持ち分のみを売却したい場合の話です。
共有不動産のすべてを売却したい場合は、共有者全員の同意が必要である点には留意しましょう。
共有持分の買取価格相場は?
普通の不動産と違って、共有名義は権利関係が難しい物件です。取引の対象が不動産そのものではなく「権利そのもの」であるため、共有者との間で紛争が発生することも珍しくありません。
そのため、「共有持分の買取価格がいくらになるのか」という質問に対しては、「共有持分の買取価格に相場はない」が答えになります。
購入金額を持分割合で割った価格が買取価格ではない
不動産そのものの価値は、所有権の割合や共有者の数によって変動・変化するため、案件ごとに価格を決定する必要があります。それにより、「購入金額を持分割合で割った価格 = 共有持分の買取価格」とはならないのです。
例えば、不動産全体を3,000万円で購入したとします。
その不動産を1,000万円出して購入し、1/3の持ち分を持った場合、純粋に1,000万円で売却できるわけではなく、むしろもっと低い価格で評価されるケースは珍しくありません。
購入後、誰かと共有している不動産を契約者が運用することは難しいので「その不動産を購入しても利益は出ない」と判断され、安値で購入されるのです。
そのため「1/3の持分だけの不動産の購入自体を断られる」ことも珍しくありません。
全体で売却するよりも1/2から1/3程度の買取価格に
通常の不動産として全ての権利を売る際には、買取相場が3,000万円で、その1/3を所有しているとしましょう。この場合、持分割合に対して1/2から1/3程度がかけられてしまうため、売却益が500万円から300万円程度に抑えられるのが一般的です。
共有持分を専門とする買取業者に売却する
ただし、共有持分買取に特化した専門業者では、買取相場に関係なく、比較的高い価格で購入を行っている場合があります。
大手不動産会社は一般的に、共有名義などの法的な問題が発生する可能性のある物件には力を入れていません。仮に購入したとしても、非常に低い買取価格を提示されるでしょう。
一方で、共有持分の買取専門業者は「その後の他の共有者からの持分購入」も含め、訳あり不動産の取扱いに特化しているのが特徴。通常なら売却が難しい共有持分のみであっても、市場価格の7割程度で買い取ってくれる可能性があります。
信用できる高額買取業者を選ぶコツ
では、どのようにして信用できる持分専門業者を見つければ良いのでしょうか。着目するべきポイントは、以下のとおりです。
- 100万円以下の小額物件も扱っているか
- 1億円以上の高額物件も買取が可能な持分専門買取業者
- 共有持分に強い弁護士と提携をしているか
- 売却したい物件が買取対応エリア内かどうか
次項より、個別に解説します。
100万円以下の小額物件も扱っているか
安価な物件は買い手が付きづらいため断られてしまうことがあるでしょう。しかし、共有持分だけでなく「不要な空き家」「市場価値が低い小額物件」の買取実績がある専門業者なら、物件の価値を最大化できるノウハウと売却先の“伝手”があると推察可能。
どんな物件でも適正価格で買取をしてもらえる可能性が高いといえます。
1億円以上の高額物件も買取が可能な持分専門買取業者
資金力のない業者は、買取金額の上限を記載しているケースがあります。一方で、1億円以上の物件も買取可能と記載している業者なら、比較的スムーズに交渉を進められるでしょう。
共有持分に強い弁護士と提携をしているか
共有持分のトラブルや、相続トラブルなどに強い弁護士と提携をしている買取業者は、通常の大手不動産会社とは異なるスキームを持っています。
そのため、共有持分関係の問題解決能力があり、買取価格の査定も正確に行うことが可能です。
売却したい物件が買取対応エリア内かどうか
買取業者によっては、主要都市部のエリアしか買取を行っていない場合があります。地方エリアの買取相談の場合は「買取対応エリア外である」という理由で、買取を断られてしまうか、低い金額で買い取られてしまうケースが存在するのです。
それを踏まえて「全国対応している買取業者かどうか」についてもチェックしましょう。
共有持分を高く売るためには何が必要?
共有持分を高く売るためには、買取業者に任せるだけではなく、次のような事柄に留意しましょう。
- 持分割合を増やす
- 持分共有者と良好な関係を築く
以下より、具体的に解説します。
持分割合を増やす
不動産の共有者が3人以上いる場合は、他の共有者の持分を買い取ることで、自分の持ち分を増やせます。物件全体を売却できない場合は、自分の持ち分を売りたいと思っている共有者と交渉して、その人から買い取れば、専門業者への売却時の査定額をさらに向上させられるでしょう。
持分共有者と良好な関係を築く
共同所有者との関係が良好であれば、売却活動もオープンにできます。売却や交渉自体がスムーズに進めば、買い手は利益を得られる可能性があるため、積極的な購入価格を提示することが可能。
一方、共有者との関係があまりにも悪かったり、共有者と買主の間でコミュニケーションが取れていなかったりすると、買取側の負担が増えるため、消極的になる可能性が懸念されます。
共有持分の査定ポイント
共有物件の価格査定のポイントを知ることで、より有利に売却できます。共有不動産の共有持分は、高額な価格で査定されるものもあれば、逆にさらに低額な価格で査定されるものもあるでしょう。
専門業者に共有持分を売却する際の査定ポイントとしては、次のとおりです。
- 不動産の状態と周辺環境
- 共有持分の所有者の人数と割合
- 土地と建物の両方に持分があるかどうか
- 住宅ローンの残額があるか
- 実際に居住している共有者がいるかどうか
- 隣地との境界標示の有無
上記について、個別に見ていきましょう。
不動産の状態と周辺環境
不動産を購入する場合、通常は「物件状態」を確認する必要があります。物件状態とは、建物の間取りや傷み具合などを指し、周辺環境とは、建物の周辺の立地条件を指します。
それに加えて、敷地に接している道路のアクセス状況(再建築不可かどうか)も重要。これらは共有物件に限らず、一般の不動産でも基本的な評価ポイントでもあります。
共有持分の所有者の人数
共有者の人数も、共有不動産の鑑定評価に大きな影響を与えます。
例えば、物件の条件や周辺環境がほぼ同じであるAとBという2つの共有不動産があったとします。
共有不動産Aは夫婦で所有しているため「共有者が2人(共有持分はそれぞれ1/2)、共有不動産Bは先祖代々受け継がれているため「共有者が8人(共有持分はそれぞれ1/8)」という状であれば、どちらの不動産の評価額が高くなるでしょうか。
上記のケースでは、不動産の条件や周辺環境がほぼ同じであっても、共有不動産Aの評価額が高くなります。
これは単純に、共有者の数が少なければ少ないほど、一人当たりの共有持分の割合が大きくなり、残りの共有者との交渉や必要な手続きに手間がかかるためです。
土地と建物の両方に持分があるか
土地と建物の両方に共有持分があるかどうかも、不動産の共有持分(共同所有権)を評価するうえでは参考材料になります。
結論から言うと、土地と建物のどちらかに共有持分を所有していれば、当該不動産を売却可能。
例えば、土地と建物の共有持分を1/2ずつ所有しているが、建物の共有持分を所有していないAと、土地と建物の共有持分をそれぞれ1/2ずつ所有しているBの2人がいたとします。
この場合、前者のAは、建物の持分権を持っていないため、土地の持分権の1/2しか売却できません。しかし、建物はすでに他人の名義になっているので、自由に使えない土地の部分を買おうとする人はいないでしょう。
そのため、土地の共有持分のみを売却する場合、買取査定も相場より低くなってしまいます。
共有持分を売却したい場合は、必ず土地と建物の両方の共有持分を所有したうえで、専門業者への査定を依頼するようにしましょう。
住宅ローンの残額
共有不動産のローンが残っていて抵当権(土地や建物を担保にする権利)が設定されている場合、売却が難しい可能性が懸念されます。
住宅ローンなどを組んで不動産を共有で購入した後、自分の共有持分を売却したいという場合には、抵当権を外さなければならないケースがあるのです。
買取業者のなかには、ローンが残っている状態でも買い取ってくれる業者も存在しますので、一度相談してみると良いでしょう。
実際に居住している共有者がいるかどうか
共有不動産を査定するうえでは、その物件に「実際に誰が住んでいるのか」を知ることも重要です。共有物件の一部しか所有していない場合、不動産を自由に扱うことができないため、買主(買取業者)側は残りの共有者に持分の売却を交渉する必要があることが理由。
実際に住んでいる共有者がいる場合には、交渉が長期化する可能性もあるでしょう。
行方不明などで他の共有者と連絡が取れない場合は、裁判所を通じて共有関係を解消するための「共有者訴訟」を起こせませんので、不動産を購入できるまでに時間がかかり、査定価格に影響を与えかねません。
隣地との境界表示の有無
共有不動産が「土地」であった場合、売却でトラブルになりがちなのが「境界問題」になります。売却する土地の境界がはっきりしていないと、売却後の境界に対する場所についてのトラブルに発展し、訴訟になる可能性も少なくありません。
このような場合を考慮して、買主(買取業者)側は、境界標を正しく設定していない不動産の査定額を低く設定することがあります。
まとめ
現在、不動産の共有持分を所有していて、それを売却して手放したいと考えているのであれば、専門業者への買取依頼が有用な選択肢です。ただし、なるべく高額で売却するうえでは、その不動産の共有持分の状況を詳しく把握することが何よりも重要。
「自分がどれだけの持分を持っているのか」「他の共有者とどのような関係にあるのか」「いくらで売りたいのか」を明確にすることで、買い手への依頼がスムーズにできるようになります。
本ブログで情報発信を行っている当社(株式会社ネクスウィル)は、訳あり物件の買取に特化したサービス「ワケガイ」を提供しています。
共有持分であっても最短1日の買取が可能で、法的な手続きについては丸投げしていただけます。共有持分にお悩みの方は、ぜひ下記よりご相談ください。