共有持分【法律・税金】

共有持分を贈与する際の「贈与税の計算方法」をわかりやすく解説!

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土地を贈与する際、贈与税の計算や申告方法を誤ると、予想外の税負担や罰則が生じる可能性があります。その際に重要となるのが、土地の贈与税に関する正確な知識です。

土地の贈与税とは、土地を無償で譲り受けた際に課される税金のことで、贈与を受けた人が支払う義務を負います。

しかし、その計算方法や評価額の調べ方、節税方法、申告手続きなどは複雑で、多くの人が困難を感じているのではないでしょうか。

そこで本記事では、共有持分にかかる贈与税の概要や計算方法について詳しく解説します。

土地の贈与税がかかる条件と計算方法

土地の贈与税は、他者から土地を無償で譲り受けた際に課される税金です。この税金は、贈与を受けた人(受贈者)が支払う義務を負います。贈与税の目的は、相続税の回避を防ぎ、富の再分配を促進することにあります。

土地の贈与税がかかる条件

土地の贈与税が課される主な条件としては、まず「贈与者と受贈者の間で土地の所有権が移転する」ことが前提となります。

この移転が無償で行われ、かつ受贈者の意思によって受け入れられた場合に贈与とみなされます。

贈与税の対象となるのは、贈与された土地の価値が年間の基礎控除額を超える場合です。暦年課税方式では、この基礎控除額は110万円に設定されています。

つまり、1年間に受け取った贈与の総額が110万円を超えると、超過分に対して贈与税が課されるのです。

土地の贈与税の計算方法

土地の贈与税の計算方法は、適用される課税方式によって異なります。一般的な暦年課税方式の場合、まず贈与された土地の評価額を算出します。この評価額は、路線価方式または倍率方式で計算されます。

算出された評価額から基礎控除額110万円を差し引いた金額が課税対象となります。この課税対象額に対して、累進税率が適用されます。税率は10%から55%まで段階的に上昇し、課税対象額が大きくなるほど高い税率が適用されます。

例えば、評価額500万円の土地を贈与された場合、課税対象額は390万円(500万円 – 110万円)となります。この金額に対して適用される税率と控除額を用いて具体的な納税額が決定されます。

土地の贈与税は複雑な計算を伴うため、正確な金額の算出には専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。また、贈与の目的や状況によっては、特例や控除が適用される場合もあるため、個々のケースに応じた適切な対応が求められます。

土地の「贈与税評価額」の調べ方

土地の贈与税評価額を正確に把握することは、適切な税金の計算と納付のために不可欠です。この評価額の算出方法には、主に路線価方式と倍率方式の2つがあります。どちらの方式を使用するかは、その土地の所在地によって決まります。

それぞれの算出方法について、以下より解説します。

①:路線価方式による算出

路線価方式は、主に市街地にある土地の評価に用いられます。この方式では、国税庁が毎年公表する路線価を基準として計算します。路線価とは、道路に面した標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格のことです。

具体的な計算方法は以下のとおりです。まず、対象となる土地が面している道路の路線価を確認します。次に、その路線価に土地の面積を掛けます。

ただし、土地の形状や利用状況によって、さまざまな補正が必要になる場合があります。例えば、間口が狭い土地や、不整形な土地では、それぞれ奥行価格補正や不整形地補正などが適用されます。

②:倍率方式による算出

倍率方式は、路線価が設定されていない郊外や農村部の土地の評価に使用される計算方法です。この方式では、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。

倍率は地域ごとに国税局長が定めており、その土地の実情を反映したものとなっています。計算方法は比較的シンプルで、固定資産税評価額に倍率を掛けるだけです。ただし、倍率は毎年見直されるため、最新の情報を確認することが重要です。

土地の贈与税を節税する方法

土地の贈与税を節税するためには、さまざまな制度や特例を活用することが効果的です。ここでは、代表的な4つの方法を紹介します。

  • 基礎控除を利用する
  • 相続時精算課税制度を活用する
  • 住宅取得等資金贈与の特例を使う
  • 配偶者控除(おしどり贈与)を利用する

それぞれ個別にみていきましょう。

基礎控除を利用する

基礎控除の活用は、最も基本的な節税方法です。暦年課税方式を選択した場合、年間110万円までの贈与は非課税となります。この制度を利用して、複数年にわたって少額ずつ贈与することで、税負担を軽減できます。

例えば、1,000万円の土地を一度に贈与するのではなく、10年かけて毎年100万円ずつ贈与すれば、贈与税をほぼ回避することができます。

ただし、この方法は長期間にわたる計画的な贈与が必要となるため、贈与者の年齢や健康状態を考慮する必要があります。

相続時精算課税制度を活用する

相続時精算課税制度は、生前贈与と相続を一体化して課税する仕組みです。この制度を選択すると、2,500万円までの贈与が非課税となります。

さらに、令和6年1月1日以降は、基礎控除110万円が追加されるため、最大2,610万円まで非課税で贈与できるようになります。

この制度は、高額な土地を一括で贈与する場合に特に有効です。ただし、一度この制度を選択すると撤回できないため、慎重に検討する必要があります。

また、将来の相続税の計算時に、贈与した財産の価額が加算されることにも注意が必要です。

住宅取得等資金贈与の特例を使う

住宅取得等資金贈与の特例は、子や孫が住宅を取得する際の資金を贈与する場合に適用できます。

この特例を利用すると、一定額まで贈与税が非課税となります。非課税限度額は、贈与を受ける人の年齢や住宅の性能等によって異なりますが、最大で3,000万円まで非課税となる場合があります。

この特例は、土地と建物を合わせた贈与にも適用できるため、土地の贈与税対策としても有効です。ただし、贈与を受けた後、一定期間内に住宅を取得・居住する必要があるなど、いくつかの条件があります。

配偶者控除(おしどり贈与)を利用する

配偶者控除、通称おしどり贈与は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で行われる居住用不動産の贈与に適用される特例です。この制度を利用すると、最大2,000万円まで贈与税が非課税となります。

この特例は、夫婦間での資産移転を容易にし、将来の相続税対策にもつながります。ただし、贈与された不動産は居住用である必要があり、また生涯で一度しか利用できないなどの制限があります。そのため、タイミングや贈与する財産の選択には十分な検討が必要です。

土地の贈与税の申告方法

土地の贈与を受けた場合、一定の条件下で贈与税の申告が必要となります。この申告は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに行わなければなりません。適切な申告を行うためには、以下の手順を踏みましょう。

  • 手順①:必要書類の準備
  • 手順②:申告書の作成と提出

次項より、詳しく解説します。

手順①:必要書類の準備

贈与税の申告には、いくつか書類を用意する必要があります。まず、贈与契約書の写しが求められます。この書類は、贈与の事実と内容を証明するものです。

次に、贈与された土地の登記事項証明書が必要となります。これは、土地の所有権が移転したことを示す公的な証明書です。

さらに、土地の評価額を証明する書類も重要です。路線価方式の場合は路線価図と計算書、倍率方式の場合は固定資産税評価証明書と倍率表が必要となります。

また、贈与者と受贈者の戸籍謄本や住民票なども求められることがあります。これらの書類は、贈与の関係性や居住地を証明するために使用されます。

手順②:申告書の作成と提出

申告書の作成は、国税庁が提供する所定の様式を使用します。主に使用するのは「贈与税の申告書(第一表)」です。この申告書には、贈与者と受贈者の情報、贈与財産の種類と価額、適用する特例などを記入します。

記入の際は、特に贈与財産の評価額の欄に注意が必要です。土地の場合、前述の路線価方式や倍率方式で算出した金額を正確に記載します。

また、適用する特例がある場合は、該当する欄にチェックを入れ、必要に応じて別表を添付します。

申告書の作成が完了したら、必要書類とともに納税地を所轄する税務署に提出します。郵送での提出も可能ですが、できるだけ直接持参することをおすすめします。税務署の窓口で不備がないか確認してもらえるからです。

土地の贈与税に関する注意点

土地の贈与税には、以下のような注意点があります。

  • 親子間でも贈与税はかかる
  • 登録免許税・不動産取得税も別途発生する
  • 7年以内の贈与は相続税の対象になる可能性がある

次項より、詳しく解説します。

親子間でも贈与税はかかる

多くの人が誤解しがちなのが、親子間の贈与にも贈与税がかかるという点です。血縁関係があっても、一定額を超える贈与には課税されます。

ただし、子や孫への贈与の場合、特例税率が適用されることがあります。これにより、一般的な贈与よりも税率が低くなる可能性があります。

特に注意が必要なのは、生活費や教育費の名目で行われる継続的な金銭の贈与です。これらは通常、贈与税の対象外とされますが、金額が過大であったり、贈与の実態が不明確であったりすると、贈与税の対象となる可能性があります。

登録免許税・不動産取得税も別途発生する

土地の贈与を受けた場合、贈与税以外にも税金がかかることがあります。まず、所有権移転登記を行う際に登録免許税が発生します。この税金は、原則として不動産の固定資産税評価額の2%です。

さらに、不動産取得税も課されます。これは、不動産を取得した際にかかる地方税で、通常は固定資産税評価額の3%(土地の場合は軽減措置により1.5%)となっています。

これらの税金は、贈与税とは別に納付する必要があるため、総額でかなりの負担になる可能性があります。

7年以内の贈与は相続税の対象になる可能性がある

贈与から7年以内に贈与者が亡くなった場合、その贈与財産が相続財産に加算される可能性があります。これは「贈与加算」と呼ばれる制度で、相続税の課税対象を拡大する目的があります。

具体的には、相続開始前3年以内の贈与財産は全額、3年超7年以内の贈与財産はその価額に一定の割合を乗じた金額が、相続財産に加算されます。この制度により、生前贈与による相続税対策が一定程度制限されているのです。

“土地”の共有持分の贈与についても理解しておこう

土地の共有持分の贈与は、複数の人が土地の所有権を共有している場合に行われる贈与の一形態です。この場合、贈与税の計算や申告方法に特殊な側面があります。

共有持分の贈与では、贈与される持分の価値に基づいて贈与税が計算されます。たとえば、評価額1,000万円の土地の20%の持分を贈与する場合、贈与税の計算基礎となる金額は200万円となります。

注意が必要なのは、残りの共有者の持分比率が変わる場合です。たとえば、3人で均等に共有していた土地のうち、1人の持分を他の1人に贈与すると、受贈者の持分比率が増加します。この増加分に対しても贈与税が課される可能性があります。

また、共有持分の贈与後も、固定資産税などの土地に関する税金は、新たな持分比率に応じて負担することになります。このため、贈与を受けることで継続的な費用負担が増える可能性があることも考慮に入れる必要があります。

まとめ

土地の贈与税は、その複雑さゆえに多くの人が戸惑う税金です。しかし、適切な知識と準備があれば、効果的な資産移転や節税が可能となります。

重要なのは、自身の状況に合わせた最適な方法を選択することです。贈与の目的、贈与者と受贈者の関係、土地の評価額、将来の相続計画など、考慮すべき要素は多岐にわたります。

また、税法の改正や個別の事情により、最適な方法が変わる可能性もあります。

そのため、土地の贈与を検討する際は、必ず税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

佐藤 丈太郎(税理士)

税理士の職域に留まらず、クライアントファーストで多岐に渡る業務に従事。
大規模な相続対策や節税コンサルティングを得意としている。

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