相続は、家族間の資産分配を巡る複雑な問題を引き起こすことがあります。特に遺留分侵害額請求は、遺留分の権利を保護するための重要な手段であるため、必ず弁護士との連携が求められます。
この記事では、遺留分侵害額請求を弁護士に依頼した場合にかかる費用について詳しく解説します。相続に関するトラブルを最小限に抑えつつも、費用面で不安をお持ちの方はぜひお役立てください。
目次
遺留分侵害請求とは
相続において、本来受け取るべき遺留分が侵害された場合、権利を行使して取り戻すことが可能です。その権利を「遺留分侵害額請求権」といいます。
例を挙げると、全ての遺産を長女が受け取るとの遺言があった場合でも、長男は「遺留分侵害額請求権」を行使して遺留分の確保をが可能です。
2019年7月1日の新しい相続法に従い、遺留分の請求手段は「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」へ移行しました。
遺留分侵害額を求めるためには、相続の財産や贈与を確かめ、民法に基づき計算する必要があります。
交渉や法的手続きは専門的知識が必要なため、弁護士の協力を得ることがおすすめです。特に、弁護士費用や手間を考慮すると、専門家に依頼する方が安心できるでしょう。
遺留分侵害請求の方法
遺留分侵害請求を進める際、まずは「遺贈や贈与による遺留分の侵害」を通知します。具体的な通知手段は定められていませんが、配達証明や内容証明付きの郵便が一般的です。
初めての手続きで迷う方も多いため、文面作成や通知の手続きは弁護士に依頼するのがよいでしょう。
相手方からの応答がない場合は、直接請求相手と交渉を試みます。交渉が難航すると、裁判所での「調停」へと移行します。
調停が成功すると、双方の合意内容に法的拘束力が生まれます。調停で合意に達しない場合、民事訴訟を行い、裁判所が最終的な判断を下します。
ただし、訴訟は時間とコストがかかるのが懸念点。不服があれば控訴という手続きも考慮されるため、早期の解決を求める方は注意が必要です。
遺留分侵害請求を弁護士に依頼した場合に発生する費用の内訳
遺留分侵害請求を弁護士に依頼した場合、必要になる費用は以下のように大別できます。
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬
- その他費用
それぞれについて、個別にみていきましょう。
相談料
遺留分侵害額請求を進める前に、弁護士との相談が不可欠です。このとき、おおよそ1時間に1万円の相談料がかかることが一般的。
しかし、30分単位の設定を持つ事務所や、もっとリーズナブルな価格を設ける事務所も存在します。例えば、いくつかの事務所では、初回30分〜1時間の相談は無料で設定されています。ただし、相談料の相場は固定されていないので、事前確認を行いましょう。
着手金
相手方への請求金額により、着手金の設定が異なります。交渉や調停の内容によっても変わることがあるので注意が必要。
多くの事務所で、請求金額の5~8%を着手金としています。ただ、請求が300万円以下の低額の場合、10万円を基本とすることもあります。不動産を含む遺産の場合、評価額を基に算定されることが一般的です。
成功報酬
請求が成功し、遺留分を受け取れた場合、報酬金が発生します。この報酬は、事務所や依頼内容によって変わることがあります。
例えば、着手金のない事務所では、報酬金のみを取る形になることも。計算方法には、獲得遺留分の10〜16%を採用する事務所や、一定の最低金額を持つ事務所もありますので、事前にしっかり確認しましょう。
その他費用
その他、さまざまな諸経費も考慮する必要があります。例えば、相手方への郵便料や書類取寄せ費など。特に不動産が遺産に含まれている場合、弁護士が現地調査を行うときの調査料や日当も発生することがあるため、注意が必要です。
遺留分侵害請求を弁護士に依頼するメリット
以上のような費用を払ってでも、弁護士に遺留分侵害請求を依頼するメリットとしては、次のようなものがあります。
- 請求にかかる手間や負担を軽減できる
- 遺留分を正確に算出できる
- 時効完成前に請求できる
- 調停や訴訟に発展しても心配が少ない
以下より、個別にみていきましょう。
請求にかかる手間や負担を軽減できる
直接の相続人間のコミュニケーションは、時に感情的になることがあり、紛糾する可能性も考えられます。交渉にかかるストレスや労力は少なくありません。弁護士が間に入ることで、冷静な対話が期待でき、効率的な解決の道も開けます。
さらには、代わりに相手とのコミュニケーションを取ることで、精神的・時間的負担を減少させられるでしょう。
遺留分を正確に算出できる
生前贈与や遺言による複数の相続人への遺贈がある場合、遺留分侵害額の算定は複雑になるケースがあります。細部を見落とすと、損をする可能性も。弁護士に任せれば、専門的な知識を持って、適切な額を計算してくれます。
時効完成前に請求できる
遺留分侵害額の請求は、相続の開始や遺留分侵害の存在を知ってから1年以内に行わないと、時効により権利が消滅する可能性があります。そのため、迅速なアクションが必要。弁護士に依頼すれば、時効が成立しないよう適切な手続きを行ってくれます。
調停や訴訟に発展しても心配が少ない
相手が請求を受け入れない場合、調停や訴訟という法的手段を取らざるを得なくなります。これらの手続きは専門的な知識と経験を要し、一般の人には難しいことも。しかし、弁護士に任せている場合、そうした法的プロセスもスムーズに進めてくれるでしょう。
遺留分侵害請求を依頼する弁護士の選び方
遺留分侵害請求を弁護士に依頼する際には、以下の点に留意が必要です。
- 適正な費用感かどうか
- 遺留分侵害請求の経験
- 信頼できる人柄かどうか
以下より、個別に解説します。
適正な費用感かどうか
遺留分侵害額が低い場合、弁護士の報酬が回収金額を超えるリスクが存在します。このような場合、初期費用が低めの弁護士を選ぶことが考えられます。
しかし、低い着手金だけではなく、その他の費用も注意深く確認することが必要。最低報酬や日当などの隠れたコストがないかを確認しましょう。
遺留分侵害請求の経験
遺留分侵害額請求の経験は、すべての弁護士が持っているわけではありません。多様な相続関連の案件に携わった実績のある弁護士は、遺留分侵害額請求のノウハウを持っている可能性が高いので、そのような弁護士の選択をおすすめします。
信頼できる人柄かどうか
弁護士の専門スキルや経験だけでなく、人としての信頼性や対応の質も非常に重要です。案件の進行中、数ヶ月から数年にわたる長期の関係を持つことを考えると、信頼や相性も考慮に入れるべきです。
料金が少し高くても、信頼感がある弁護士を選択することが望ましいでしょう。
まとめ
遺留分侵害額請求を適切に行うためには、経験豊かな弁護士のサポートが欠かせません。弁護士を選ぶ際には、費用と結果のバランス、専門の経験や知識、そして人間性や信頼性をしっかりと考慮して選択することが大切です。
相続問題や遺留分侵害額請求に関する疑問や悩みがある場合、一人で悩むのではなく、まずは気軽に専門家に相談してみましょう。
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