共有持分【基礎知識】

不動産共有のメリット・デメリットとは?マイホーム購入の際の判断基準を紹介

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夫婦や両親と一緒にマイホームなどの不動産を購入する場合、一緒に購入し「共有名義として不動産を所有する」ことを検討するのではないでしょうか。実際に、マイホームを共有名義で購入することにはメリット・デメリットがあり、一概にどちらがいいとは言い切れません。

本記事では、共有不動産のメリット・デメリットに加え、売却したくなった際の対処法を解説します。

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そもそも共有名義とは?

そもそも不動産の「共有名義」とは、同じ不動産を1人ではなく、2人以上で所有する状態を指しています。共有不動産の権利者については、「共有者」と呼称されます。

不動産が共有状態の場合、物理的な部分をどちらかが使用できるということではなく「共有者全員が不動産全体を使用・利用する権利を持っているが、お互いに制限している」ということ。

つまり、ある共有者が共有持分の1/100しか持っていなくても、その人は財産全体を使用・利用する権利を持っているのです。

共有不動産の売却や管理については、共有者1人だけでは決められない場合が多く、どの程度の同意が必要なのかは、その重要性によって異なります。 例えば、以下のとおりです。

  •  変更(処分):共有者全員の同意が必要
  •  管理:共有者の持分価格の過半数で実行可能
  •  保存:各共有者が単独で行える

このように、共有状態では、変更(処分)という重要な行為に関係者全員が同意しなければならず、関係者にとっては大きな負担になるでしょう。

なお、一人の名義で登記された不動産の呼び方は「単独名義」です。単独名義の所有であれば、基本的には自分の判断で管理や売却を行うことができます。

共有名義のメリット

マイホーム購入時に不動産を共同名義にするメリットとしては、以下のようなものがあります。

  • 住宅ローンのダブル控除を利用できる
  • 売却時にもダブルの特別控除がある

それぞれについて、個別にみていきましょう。

住宅ローンのダブル控除を利用できる

住宅ローンを組んで不動産を購入した場合、「住宅ローン控除」を利用可能です。

現行の制度では「住宅ローンの年末残高」「住宅の購入価格」のうち、どちらか少ない方の1%が10年間(住み始めた時期によっては13年間)、所得税から控除され、所得税から控除しきれなかった金額は、住民税から差し引かれます。

ただし、上限額が「40万円」に設定されているため、夫婦だけで借りる場合は4,000万円以上のローンを組んでも、それ以上は控除額は増えません。

住宅ローン控除は世帯ごとではなく、“夫婦がそれぞれ”申告することになっています。つまり、夫婦2人で借りれば、上限額は総計80万円となり、借入総額が4,000万円を超えても控除額を増やすことが可能。

つまり、「ペアローン」「連帯債務」のように、夫婦の両方が実質的に債務を負っているケースでは、2人分の控除を受けたほうが有利な場合があるのです。

ただし、どちらかが連帯保証人になっている場合は、「連帯保証人」は債務者ではないので、住宅ローン控除を受けられない点には留意しましょう。

売却時にもダブルの特別控除がある

マイホームを売却した際、売却益があれば、その利益に対して譲渡所得税が課税されます。

しかし、「3,000万円特別控除」という税制上の優遇措置を活用すれば、売却益から3,000万円を課税価格(税金を計算する価格)として差し引くことが可能。これにより、大幅な節税につながります。

夫婦で共有している不動産については、「夫婦それぞれ」が譲渡所得から3,000万円を控除できるので、その点でも共有名義にする恩恵があるといえるでしょう。

共有名義のデメリット

共有名義のデメリットには、以下のようなものがあります。

  • 共有者全員の同意が必要
  • 共有者が亡くなると相続対象となる
  • 登記費用が2倍になる

次項より、それぞれについて説明します。

共有者全員の同意が必要

共有名義の不動産を売却する。あるいは抵当権を設定するには、共有者全員の同意が求められます。

つまり、不動産が共有されている場合、単純に不動産全体を売却できず、他の人が反対すれば自分の持ち分しか売却できないのです。

共有者が亡くなると相続対象となる

共有名義不動産の所有者が死亡すると、相続が発生し、法定相続人(民法で定められた範囲内の相続人)全員がその物件を共有することになります。

その不動産が相続人の1人以上の名義になっている場合は、相続時に遡って所有していたとみなされます。

これは、不動産が法定相続人の1人の名義になっていると、前述の「処分行為の制限」など、将来的に問題が生じる可能性があるからです。

相続前に共有していた場合、共有者の一人が相続すると、共有者の数が増えることがあります。

共有者の数が増えれば増えるほど、物件の処遇に関する合意形成が難しくなりかねません。そのため、相続などで権利が変化するタイミングで「少数の共有者をまとめる」ようにしましょう。

登記費用が2倍になる

夫婦で1つの住宅に対して、それぞれが住宅ローンを組み、抵当権を設定した場合、登記費用は2倍になります。不動産登記には登録免許税の支払いが必要です。

夫婦、あるいは親子でそれぞれ登録免許税を支払うとなると、一時的にしても少なくない支出になってしまうでしょう。

以上のような共有持分のリスクについては、次の記事でも詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

関連記事:共有持分のリスクとは? 共有状態はなぜリスクが高いのか?

不動産共有の注意点

上記の問題点を考慮した上で、それでも共有名義での不動産購入を希望する場合、以下のような点に留意しましょう。

  • ペアローンの利用
  • 離婚などによる名義変更
  • 共有者(夫)の死亡

次項から、個別に解説します。

ペアローンの利用

共有名義を登記する際には、所有権の割合を「◯分の◯」といった形で、合計の割合が100%になるようにしなければなりません。

ここで重要なのは、適当に「これくらいにしたい」「50/50でいいよ」などと決めてはならない点に注意しましょう。重要なのは、「各共有者の出資比率やローンの負担比率に応じて、正確に持分を設定する」こと。

例えば、3,000万円の住宅を購入するとします。その際、妻が独身時代の貯金から300万円を頭金の一部として拠出し、残りの頭金とローンを夫が負担する場合、夫が9/10、妻が1/10が適切といえます。

妻の分が全く含まれていない場合は、妻が夫に300万円を贈与したことになり、夫に贈与税がかかります。ただし、年間110万円までの贈与は非課税です。

離婚発生時の権利関係

離婚時などは、単純に「財産ではなく、夫の持分を取ればいい」と考えているケースも多いようですが、これは適切な考え方ではありません。

夫婦でローンを組んで財産を共有する場合、銀行の住宅ローン契約の条項に拘束されてしまうのです。通常、銀行の許可なく所有権を変更することは契約違反です。

つまり、妻に夫の持ち分を引き継ぐだけの経済力があるのであれば、銀行と相談して残債を含めたローン全体の債務者となり、同時に夫の持ち分も引き継ぐべきといえます(もちろん、その場合は妻が再度銀行のローン審査を通過する必要がありますが)。

もし、夫の持分を勝手に妻に譲渡してしまうと、ローンの契約内容に違反することになり、残債の分割払いができなくなり、妻は全額を一括で返済しなければなるでしょう

妻が夫の持分を移転せずに住み続けた場合も、経済的理由で夫がローンの支払いができなくなると、夫の持分は容赦なく差押えられ、競売にかけられてしまう可能性があります。

共有の死亡

共有者(夫)が死亡して相続が発生した場合、法定相続人(民法上の相続人)全員が不動産を相続する権利を有しており、法定相続人全員で「遺産分割協議」を行って相続人を決定することになります。

例えば、子供が2人いる場合の権利関係についてみてみましょう。この場合、夫の1/2の持分は妻にその1/2、子供にその1/4がそれぞれ相続される形になりますので、妻が3/4、子供がそれぞれ1/8ずつ持分を所有することになります。

共有持分の相続人が複数いる場合は、継承先を一人に絞るようにしましょう。何故ならば、今後さらに、孫、ひ孫の代まで持分が分かれて相続されていった場合、管理や処分が困難となり、いずれ誰も管理しない空き家状態となってしまう可能性が高まるためです。

共有名義の物件を売却したい場合は?

すでに共有名義になっている不動産を売却したい場合はどうすればよいのでしょうか。前述のとおり、共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要ですが、実際にはなかなかうまくいかないケースも多々あります。

例えば「現在所有している共有者は売却したくないが、他の共有者は売却したいと考えている」「そもそも売却したいと考えている共有者が他の共有者に連絡してもうまく対応してくれない」場合などです。

当事者同士で話し合いを迫られると、人間関係の問題にも発展しかねません。

その場合、自分の共有持分のみ専門に扱っている不動産業者に売却することを検討しましょう。そのような共有持分を専門に扱っている不動産業者は、持分を売りたいと思っている当事者の持分だけを購入してくれるかもしれません。

持分が購入されると、残りの当事者との間で、単一の所有権を作るための交渉が行われます。

購入価格は、不動産全体の市場価格の割合よりもかなり低くはなりますが、面倒な共有関係から解放され、迅速に不動産を売却できることはメリットといえるでしょう

まとめ

不動産を共有名義にすることは、税金の控除などのメリットがある一方で、相続によってさらに共有者が増えるリスクや、各共有者が自由に売却できないなどのデメリットもあります。

共有持分を売却するかどうかで意見が分かれた場合には、共有持分だけを売却して、不動産全体を売却しないことも可能ですので、共有持分を専門に買取する会社に相談するのも1つの方法です。

本ブログで情報発信を行っている当社(株式会社ネクスウィル)は、訳あり物件の買取に特化したサービス「ワケガイ」を提供しています。

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この記事の監修者

監修者プロフィール写真

松本 大介(司法書士)

得意分野:相続全般、遺言書作成、不動産売却
お客様に「君にまかせてよかった」「君だから依頼したんだよ」そう言っていただけることを目標に、この仕事に誇りを持って取り組んでおり、お客様の立場に寄り添い考えるよう心がけています。

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