共有持分【法律・税金】

共有持分の減価償却はどうやって計算すればいい?申告方法や節税の知識を解説

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減価償却は、事業で使用する建物や設備の価値が時間と共に減少することを会計上で表現する方法です。企業や個人事業主にとって重要なこの手法は、共有持分を取得した際にも正確な収益計上と税負担の軽減に大きく寄与します。

本記事では、共有持分で減価償却を行う際に把握しておくべき基本概念から特定の資産に対する具体的な償却方法について詳しく解説します。

そもそも減価償却とは

減価償却とは、企業が建物や設備などの固定資産を購入した際、その取得費用を「耐用年数」に分けて経費として計上する会計処理を指します。

例えば、事業のために購入した設備の価値は、年々使用により減少していくため、その減価分を毎年の事業収益に反映させる必要があります。

この処理により、その資産が事業にどの程度貢献したかをより正確に反映することが可能と。各資産の「使用可能年数」はその性質によって異なり、この期間に応じて費用を分割して計上します。このような会計処理を「減価償却」と呼び、この対象となる資産を「減価償却資産」と称します。

家賃収入がある場合の減価償却の取り扱い

不動産を保有し、そこから家賃収入を得ている場合、その物件にかかる減価償却費もまた経費として計上されます。

このような状況では、確定申告時に「収支内訳書(不動産所得用)」に減価償却費(例えば、建物の取得費)を記載し、計算内容を裏面の計算書に詳細に記入して添付することが求められます。

減価償却の種類

減価償却は、以下の2種類に大別されます。

  • 一括償却資産
  • 少額減価償却資産

以下より、個別にみていきましょう。

一括償却資産

一括償却資産には、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産が含まれます。この種類の資産については、3年間にわたって均等に償却する方法を用います。

一括償却資産として計上することにより、購入月に関わらず1年分の経費を計上することが可能です。これは、取得月によっては通常の減価償却よりも経済的に有利な場合があります。

さらに、一括償却資産はその価額が比較的低く、償却資産税の対象にならないこともあるため、条件に合致する場合は一括償却資産として処理することが推奨されます。

少額減価償却資産

少額減価償却資産とは、取得価額が30万円未満の減価償却資産のことで、合計金額が300万円を限度として全額を経費として計上できます。

この制度は、「青色申告書を提出する資本金または出資金の額が1億円以下の法人」や「常時雇用する従業員の数が1,000人以下の個人」に適用されます。

ただし、この制度の適用期間は2022年(令和4年)3月31日までとされており、その後の期間伸長の可能性については確認が必要です。

共有持分の減価償却は持分割合に応じて計算しよう

共有不動産における減価償却は、各共有者の持分割合に応じて計算されます。まず不動産全体の減価償却費を算出し、その後に持分割合を適用することで、各共有者が自分の持分に対してのみ減価償却を行えます。

この方法を理解することで、不動産における共有持分の減価償却の処理が容易になるでしょう。

事業用不動産の計算方法

事業用不動産の減価償却には、主に以下の3つの計算方法が存在します。

  • 平成19年度以降に取得した不動産:定額法を使用。
  • 平成18年度までに取得した不動産:旧定額法を使用。
  • 平成9年度までに取得した不動産:旧定率法を使用。

名義変更時の取得とは、相続によるものも含むため、計算方法の引き継ぎには注意が必要です。

具体的な計算例を提示することで、減価償却の理解を深められますが、実際の計算では個々の事情や端数の取り扱いにより変動があるため、例はあくまで目安として使用すべきです。

事業用以外の不動産の計算方法

平成19年4月1日以降に取得した不動産は、定額法によって減価償却費が計算されます。この方法は基本的な計算方法であり、特別な事情がない限りは法人も個人も使用します。

  • 減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

償却率は資産の耐用年数によって決まり、耐用年数は資産の構造や用途に応じて「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第1、償却率は別表第8で規定されています。

減価償却の申告タイミング

不動産所得を得ている人は、毎年確定申告を行う必要があります。この申告には、前述の収支内訳書が必要。確定申告は通常、前年1年間の収入に対して、翌年の2月中旬から3月中旬に行われます。

ただし、例えば2020年のように新型コロナウイルスの影響で申告期間が延長されることもあります。このようなイレギュラーな状況下では、国税庁ウェブサイトなどで最新の申告期間に関する情報を確認することが重要です。

申告期限を過ぎたり、申告を怠ったりすると、延滞税や無申告加算税の対象になる可能性があるため、十分な注意しましょう。

事業用設備は一括で償却することで節税に繋がる

事業用設備の場合、一括で減価償却を行うことで節税に繋がります。以下より、その理由について解説します。

10万円以上20万円以下の設備の場合

10万円以上20万円以下の設備は、一括償却資産として分類され、耐用年数に関係なく3年間で均等に償却することが可能です。例えば、耐用年数が10年で価額が15万円の設備では、通常の減価償却方法では年間1万5,000円の経費計上しかできませんが、一

括償却を利用すると年間5万円の経費計上が可能となります。特に、同額の設備を複数購入した場合、一括償却の節税効果はさらに大きくなるでしょう。

10万円以上30万円未満の設備の場合

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という制度があり、これは10万円以上30万円未満の設備に適用されます。この特例では、設備を取得した年に全額を経費計上することができますが、いくつかの条件があります。

一括償却資産として計上した設備はこの特例の対象外です。青色申告を行っている中小企業者や農業協同組合などがこの制度を利用できますが、従業員数が令和2年度以降は500人以下である必要があります。

まとめ

減価償却は事業経営において欠かせない要素であり、その適切な理解と実施は財務状態を健全に保つために不可欠です。特に、一括償却資産や少額減価償却資産の特例を利用することで、節税効果を最大化する方法が重要。

専門知識を持つ税理士や会計士などのプロフェッショナルに相談することで、さらに具体的で最適な税務計画を立てられるでしょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール写真

佐藤 丈太郎(税理士)

税理士の職域に留まらず、クライアントファーストで多岐に渡る業務に従事。
大規模な相続対策や節税コンサルティングを得意としている。

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