共有持分の売却を検討する際に「相場はどのくらいなのか」「正確な査定を得るためのポイントは何か」などについて悩むケースは多々あるでしょう。
相場感をつかむことで、適切な売却価格での交渉が可能になります。さらに、査定の要点を理解することで、よりよい取引条件での売却も可能。
本記事では共有持分の売却相場を具体的に解説し、査定についての重要なポイントを細かく説明します。売却を成功させるための情報について知りたい方は、ぜひお役立てください。
目次
共有持分の買取相場は市場価格より低くなりやすい
共有持分を売却する場合、できれば高額買取を望んでいることでしょう。しかし、共有持分の買取価格が市場価格に達しないケースがしばしば発生します。
買取業者側が共有持分だけを買い取る行為には、大きなリスクが伴います。このリスクを評価し、その結果として買取価格が決定されるのです。
一般の人や不動産業者は共有不動産の取り扱いに特化していないため、共有持分ならではのリスクが大きな懸念点となります。その結果、共有持分のみを買い取る事ができないのです。
他の共有者に売却する場合は「市場価格 × 持分割合」
共有者に共有持分を販売すると、その共有者は自身の持分を増やせます。このため、市場価格に近い金額での買取が期待できるでしょう。
仮に、相場に近い金額で売却できるなら、共有持分の市場価格は次の計算式で求めます。
<共有持分の市場価格 = 共有不動産の市場価格 × 持分割合>
例えば、共有不動産の市場価格が5,000万円、あなたの持分割合が1/2だとすると、他の共有者への売却で得れる金額は次のように算出します。
<共有持分の市場価格 = 2,500万円 × 1/2 = 2,500万円>
ただし、他の共有者との合意が必要。共有者との間にトラブルがある場合や、持分を買い取る財力を持つ共有者がいない場合、共有者への売却は困難になるでしょう。
第三者に売却するなら「市場価格 × 持分割合 × 0.3〜0.6」
共有持分を扱う不動産買取業者に売却する場合、売却相場は市場価格の3〜6割程度になることが多々あります。
共有持分だけでも買い取ることが可能な専門の買取業者ですが、後に説明するリスクを考慮した価格での買取となります。したがって、持分の売却価格は本来の価値よりも低下する傾向があります。
第三者が共有持分を買ってくれる可能性が低い理由とは?
第三者に共有持分の買取をお願いしたとしても、思うように売却できない可能性としては、大きく下記の2点が考えられます。
- 「権利のみ」だと不動産全体を活用できない
- 他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性がある
次項よりそれぞれについてみていきましょう。
「権利のみ」だと不動産全体を活用できない
共有不動産の持分により、行動の自由が制約されます。何らかの行為を行うには、他の共有者の同意が必要となります。
例えば、以下のようなケースです。
- 売却(不動産の全体の売却)
- 長期賃貸借契約
- 解体や新築や大規模修繕など大きな変更
- 抵当権の設定
- 分筆や加筆
これらを行うには全員の同意が必要となり、交渉が難航し放置されることが多々あります。ただし、そのまま放置すると毎年の固定資産税が発生します。
他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性がある
共有名義の不動産では、共有者間のトラブルが発生することがあります。
共有者の一部として、行うことができる不動産に関する行為が限定され、不動産の売却や活用について共有者間で意見が対立することがあります。
不関与の第三者がこのようなトラブルに巻き込まれるリスクがあるため、買取業者も軽々しく共有持分を買取ることはできません。
関連記事:共有持分は売却可能?よくあるトラブルと対策方法とは?
共有持分の査定のポイント
共有持分を買い取ってもらう際には、なるべく高く売却するためにも、以下のような点に留意しましょう。
- 共有者の数
- 立地条件や周辺状況
- 土地・建物の共有持分がセットになっているかどうか
- ローンの残債や抵当権
- 隣接する土地との境界の有無
ここからは、それぞれについて詳しく解説します。
共有者の数
共有者の人数が少ないほど、売却時に高値で買い取ってもらえる可能性も高まるでしょう。
なぜなら、買取業者が他の共有者との交渉を行う手間が減るためです。
具体的には、売主を含めて共有者が3~4人程度であれば、比較的査定額も高くなる傾向があります。
立地条件や周辺状況
不動産の「状態」「立地」も査定のポイントとなります。良好な条件や立地を持つ不動産はニーズが高く、買取業者も再活用しやすいためです。
具体的には、以下のような要素が重要です。
- 駅やバス停までの距離
- 周辺に商業施設や病院、学校などはあるか
- 建物の劣化具合や築年数
特に、建物の劣化や築年数については、経年とともにどんどん悪化していきます。共有持分の売却を検討しているなら、早い段階で対応しましょう。
土地・建物の共有持分がセットになっているかどうか
土地と建物両方の共有持分を持つ場合、それらを一緒に売却すると買取価格が高くなる可能性があります。土地だけ、あるいは建物だけの共有持分でも売却は可能ですが、査定額は低くなる傾向があります。
ローンの残債や抵当権
「共有名義不動産にローンなどの残債」があると、査定以前に売却自体が難しくなる可能性が高いでしょう
共有名義不動産とは「不動産に関する全ての権利をそれぞれの共有持分の所有者が持つ」という前提があります。そのため、ローンなどの残債や借金などによる抵当権も例外ではありません。
共有持分を売却したい場合は、まずローンなどの残債や抵当権を解消しましょう。
隣接する土地との境界の有無
「隣接する土地との境界標の有無」も共有持分の査定に関わってきます。境界が不明瞭な土地を売却すると、後で境界に関するトラブルが起こり、訴訟に発展する可能性があるのです。
そういったケースを考慮して、買取業者は境界が設定されていない土地の査定額を、低く見積もることが懸念されます。
これは、共有名義不動産(共有持分)に限らず通常の不動産でも基本の査定ポイントとなっておりますので覚えておきましょう。
共有持分を相場よりも高く売りたいなら専門業者に相談しよう
共有持分の買取を専門とする不動産業者は、「特殊な状況の物件」を専門に取り扱っています。
一般的な不動産業者に共有持分の買取を依頼しても、進行がスムーズにいかないことがあります。その理由は、前述のとおり共有持分の権利関係が複雑で、一般的な利用が難しいからです。
しかし、専門の買取業者に依頼すれば、他の共有者とは関わることなく持分を現金化し、共有名義から離脱することができます。
専門の買取業者は共有持分を買取るためのノウハウが豊富で、専門家と連携して共有者間の調停も行うことができるため、共有不動産をスピーディーに買い取ってくれるでしょう。
「共有者との交渉を避けたい」「迅速かつ労力を使わずに持分を放棄したい」とお考えの方は、共有持分を扱う不動産買取業者に依頼し、買い取ってもらうことを検討しましょう。
専門の買取業者に共有持分を売却するコツについては、下記の記事でも解説しています。あわせて、ご参照ください。
関連記事:共有持分を高く売るためには買取業者の選び方とは?価格査定の要点も解説!
まとめ
共有持分の売却相場は低くなりやすい上に、多くの要素に左右されます。物件の価値、地域の市場状況、売却のタイミングなどを考慮する必要があります。
本校で紹介した査定のポイントを踏まえ、適切な価格を把握することが大切。それでも不安がある際には、信頼できる専門家への相談も検討しましょう。
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