共有持分【売却・買取】

共有持分の売却は「買取」「仲介」のどちらにするべき?

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不動産を売却する場合、「買取」「仲介」のどちらかが選択肢です。買取・仲介と買取のどちらも一長一短ですが、もし「共有持分を売却したい」と考えている場合、どちらに依頼するべきなのでしょうか。

本稿では、共有持分を売るケースを想定して「買取 vs 仲介」の是非について論考していきます。

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「買取 vs 仲介」それぞれの違い

マンションや住宅など、夫婦や兄弟などの共有名義になっている不動産を売却する方法として、仲介と買取の2つの方法があります。

単独所有の場合に比べ、手続きなどが複雑ですが、持分の売却も可能。以下より、まず仲介と買取の違いについて解説します。

不動産売買における買取とは?

買取では、不動産会社が買主となります。その結果、売却までの期間が短縮されることがあり、他の共有者に迷惑をかけずに売却できるのです。

しかし、買取価格は仲介に比べて低くなることが多いため、利益を最大限に得たい場合は仲介を検討するとよいでしょう。売却価格に納得がいかない場合、売却を行わなくても構いません。

不動産売買における仲介とは?

仲介の場合、不動産会社が買い手を探し、一般人が買主となります。そのため、買取よりも高い売却価格が期待できますが、売却までの期間が長くなることもあるでしょう。

ほかの共有者の同意が必要になることがあるため、円滑な売却が難しい場合も。仲介で共有持分が売却された場合、仲介手数料を不動産会社に支払うことになります。

共有持分とは?

共有持分は、複数人で1つの不動産を共同所有する「共有不動産」において、各共有者が持つ所有権の割合を指します。

例えば、100㎡の土地をAとBが半分ずつ所有している場合、AとBの共有持分は1/2ずつになります。重要な点は、共有が概念であり、土地が50㎡ずつに区切られているわけではない……、ということです。

持分の割合は不動産登記簿に記載されていますが、これは所有している不動産の面積を示すものではありません。

実は、共有持分は、通常の不動産と同様に売却できます。ただし、権利関係はやや複雑ですので、以下より詳細に解説していきます。

共有者が有する権利関係について

共有持分を持つことのリスクを考えるために、財産権(物に対する権利)の基本的な考え方を確認しましょう。日本の法律では「一物一権」が原則(※1)。

これは以下の内容を意味します。

  • 権利の対象は単一のものでなければならない。
  • 一つの物に対して一つの権利しか存在しないこと。

不動産においても、「1つの不動産に対して2つの所有権」が対立することは原則的にありません。所有権と抵当権は別の権利であり、1つの不動産に共存させても「一物一権」の原則に反することがないのが基本です。

ただし、全く同質の所有権を持つ場合には、共有権を共存させることができないという原則から、共有状態は例外である……、と認識しておきましょう。

共有持分は売却が難しいのが実情

しかし、通常の単独名義の不動産を同じ感覚で売却しようとしても、うまくいかないことがあります。

その理由は、共有持分単体では利活用が難しく、買い手にはあまりメリットがないから。そのため、「わざわざ共有持分を買おう」とする業者や個人は限られています。

共有持分を買取してもらうメリット・デメリット

共有持分の売却において「買取と仲介のどちらを選ぶか」は悩みどころといえるでしょう。

まず、仲介と比較した場合の買取のメリットには、次のようなものがあります。

  • すぐに売却できる
  • 仲介手数料が発生しない
  • 売りに出している事実を知られにくい

次項より、個別に解説します。

すぐに売却できる

買取では不動産会社が直接買い手となり、査定価格が提示されます。価格に合意すれば契約成立となり、買い手探しの期間が不要。

最短48時間で共有持分を現金化できるため、資金調達が急務な場合、買取が適しています。

仲介手数料が発生しない

費用面での買取利点は、仲介手数料が不要です。仲介の場合、手数料は以下の通り上限が定められます。

  • 仲介手数料 = 売却価格 × 3% + 6万円

直接買取なら、上記の手数料がかからないことは大きな利点といえるでしょう。共有持分の売買では、実物の不動産ではなく所有権が売買対象であるため、仲介では買い手が見つかりにくいこともあります。

売りに出している事実を知られにくい

不動産売却において「売りに出していることを、周囲に知られたくない」というケースは往々にしてあることでしょう。

仲介では広告が出るため、周囲に情報が伝わることがあります。しかし、買取では広告がなく、情報漏れのリスクが低減されるのです。

共有持分を買取してもらうデメリットは?

買取のデメリットは、買取価格が安くなりやすい点です。これは、共有持分というリスクある物件である以上、仕方がない側面もあります。

ただし、将来的に価値が高くなる物件なら、買取の方が高く売れる場合もあります。また、高く売却したい場合は、共有持分専門の買取業者に相談するとよいでしょう。

共有持分を「買取」で売却するまでの流れ

共有持分を買取で売却するまでの流れは、次のようになります。

  • Step1.事前準備
  • Step2.不動産会社への買取の依頼、売買契約・引き渡し
  • Step3.確定申告と税金の支払い

以下より、それぞれについてみていきましょう。

Step1.事前準備

買取で共有持分を売却する際は、事前準備が重要です。

買取価格は相場より低くなることがあります。価格交渉のためにも、一括査定サイトで相場を確認しておかなければなりません。

共有者全員の同意が必要な場合や、自分の持分だけを売却するケースもあります。必要書類や委任状の作成は、不動産の状況により異なるため、不動産会社に確認しておきましょう。

Step2.不動産会社への買取の依頼、売買契約・引き渡し

事前準備が済んだら、不動産会社に依頼し、提示された価格に同意すれば売買契約を結びます。契約書は依頼先の不動産会社が用意してくれるのが一般的です。

代金の支払い方法は不動産会社や契約内容によって異なりますが、全額受取後、不動産の引き渡しを行うのが通例です。自己持分だけの売却の場合、所有権移転登記のみを行うこともあります。

Step3.確定申告と税金の支払い

買い取ってもらった後は、確定申告と税金の支払いが必要です。売却益が発生した場合、所得税や住民税の支払いも求められます。

相続税が関係する場合もありますので、税務署や税理士に相談するとよいでしょう。

共有持分を仲介で売却するメリット・デメリット

仲介のメリット・デメリットは、買取の真逆といえます。まとめると以下のようになります。

<仲介のメリット>

  • 買取よりも高い金額で売却できる

<仲介のデメリット>

  • 売却までに長い時間がかかる
  • 近隣の人に売却が知られる
  • 仲介手数料がかかる
  • 特殊な売買の場合、売却できないこともある

仲介で売却すると、直接買取をお願いするよりも高い売却益が期待できます。しかし、これは「買い手が見つかれば」の話。

前述のとおり、共有持分について積極的に買いたがる人は稀であるため、現実的にはデメリットの方が大きいといえるでしょう。

共有持分を仲介で売却する際の注意点

共有持分を仲介で売却しようと考えた際には、通常の不動産と違って、仲介で扱ってくれる業者が少なく、いたとしても基本的に海外の投資家に販売するケースが多い……、という点は承知しておきましょう。

なぜなら、面倒事の多い共有持分を購入するのは基本的に投資目的であり、日本人は共有持分について良い印象を持っていないケースが大半であるため、必然的に「海外の投資家」が買い手になりやすいのです。

しかし、海外の投資家が持分を購入してしまったら、残された共有者は、コミュニケーションが取れず、困ってしまうことでしょう。

そこからさらに相続に相続を重ねてしまった場合、権利関係を一つにまとめることは限りなく不可能になりかねません。

以上を踏まえると、仲介の方が金額が伸びる可能性はあるが、残される共有者や、これから相続をする可能性がある人たちのことを考えて、なるべく仲介という選択はしないのが賢明といえます。

前述したように、他の共有者との交渉を前提としてしっかりと責任を持って対応してくれる専門業者に直接買取を依頼するのがベターでしょう。

仲介でなかなか売れない際の対処方法

仲介の場合は買主が一般の人であるため、売りに出してもなかなか売れない場合があります。この場合は、次のポイントを中心に見直しをしてみましょう。

  • 売却価格の見直してみる
  • 内覧に備えて物件をキレイにしておく

以下より、個別に解説します。

売却価格の見直してみる

長期間売却できない場合、売却価格の見直しを検討することが重要です。価格を下げることで、売却がスムーズに進む可能性があります。

また、売却価格を下げることで、買取を検討する価値もあります。資金が急務の場合、買取によって速やかに現金化が可能です。

仲介を担当している会社が買取も行っている場合は、買取についても相談してみることをお勧めします。

内覧に備えて物件をキレイにしておく

共有物件の全てを売却する際には、内覧が一般的です。内覧時の印象は売却に大きく影響するため、良い印象を与える努力が必要です。

不用品が残っている場合は、処分して部屋を広く見せるようにしましょう。壁紙の剥がれやフローリングの傷がある場合は、リフォームを検討することで内覧の印象が向上します。

また、マンションやアパートの売却の際には、日当たりにも注意が必要です。内覧を行う時間を日が一番入る時間帯に設定することで、日当たりの悪い部屋でも印象を良くすることができます。

【結論】共有持分は買取と仲介のどちらで手放すべき?

共有持分を売却する際、買取と仲介のどちらを選ぶべきかは、状況や目的によって異なりますが、それぞれの評価軸をまとめると、以下のとおりです。

【買取を選ぶべき場合】

  • すぐに売却して現金化したい
  • 近隣住民に売却情報を知られたくない
  • 販売活動を行わずに手間を省きたい

【仲介を選ぶべき場合】

  • 時間がかかってもいいから高額で売却したい

それぞれのメリット・デメリットを考慮し、自分の状況に合った方法を選びつつ、信頼できる不動産会社や専門家に相談することで、適切な判断ができるでしょう。

まとめ

共有持分の売却方法には、買取・仲介の2つの方法があります。買取では不動産会社が直接引き取り、仲介では一般の個人が買い手。

買取と仲介にはそれぞれメリットとデメリットが存在します。共有持分の売却をスムーズに進めるためには、各方法のメリット・デメリットを考慮し、自分に適した方法を選択しましょう。

本ブログで情報発信を行っている当社(株式会社ネクスウィル)は、訳あり物件の買取に特化したサービス「ワケガイ」を提供しています。

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この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸(宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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