共有持分【基礎知識】

共有持分を担保にお金を借りるには?不動産担保ローンのにおける共有不動産の取り扱いについて

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共有名義・共有持分とは、複数の人が1つの不動産を共同で所有する形態のことです。相続や夫婦での共同購入などで共有名義の不動産を持つ方は、その活用や資金調達についてお悩みなのではないでしょうか。

共有名義・共有持分の不動産を担保にする際、適切な手続きを踏まないと、共有者間のトラブルや予期せぬ権利制限などのリスクがあります。そのため、共有名義・共有持分の特徴や担保設定の方法、注意点について知っておくことが大切です。

そこで本記事では、共有持分を担保にする場合に知っておくべき事柄を詳しく解説します。

共有名義・共有持分とは?

そもそも共有名義とは、1つの不動産を複数の人が共同で所有している状態を指します。例えば、夫婦で購入した家や相続で兄弟姉妹が受け継いだ実家などが該当します。共有名義の不動産は、登記簿の所有者欄に複数の名前が記載されています。

一方、共有持分とは、共有名義の不動産において各所有者が持つ所有権の割合のこと。共有持分は、不動産の取得に際しての出資額や負担額に応じて決定されます。

例えば、夫が60%、妻が40%の出資で家を購入した場合、夫の共有持分は6/10、妻は4/10となります。

共有名義・共有持分の不動産は、売却や担保設定の際に複雑な問題が生じる可能性があるため、所有者間で十分な話し合いと合意が必要です。

共有名義の定義と特徴

共有名義とは、1つの不動産を複数の人が共同で所有している状態を指します。主に以下のようなケースで発生します。

  • 相続:親の遺産を子どもたちが共同で相続する場合
  • 夫婦での共同購入:夫婦で一緒に住宅を購入する場合
  • 共同事業:複数の事業者が共同で不動産を取得する場合

共有名義の特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 登記簿に複数の所有者名が記載される
  • 各所有者の権利と義務が発生する
  • 不動産の処分や大きな変更には、原則として全所有者の同意が必要
  • 共有者間でトラブルが発生しやすい

共有名義の不動産を扱う際は、各所有者の権利を尊重しつつ、慎重に対応することが求められます。

共有持分の意味と割合の確認方法

共有持分とは、共有名義の不動産において各所有者が持つ所有権の割合のことです。共有持分は、不動産の取得時の出資額や負担額に応じて決定されます。

例えば、3,000万円の不動産を夫が2,000万円、妻が1,000万円を出資して購入した場合、夫の共有持分は2/3、妻は1/3となります。

共有持分の割合を確認するには、以下の方法があります。

  • 登記簿の確認:不動産登記簿の権利部(甲区)に記載されている
  • 売買契約書や遺産分割協議書の確認:取得時の書類に記載されている場合がある
  • 固定資産税納税通知書の確認:共有者ごとの持分割合が記載されている場合がある

共有持分の割合は、不動産の売却時の利益配分や固定資産税の負担割合、担保設定時の評価額などに影響するため、正確に把握しておくことが重要です。

共有持分を担保にすることは可能?

共有持分を担保にすることは法律上可能です。ただし、実際には多くの金融機関が共有持分のみを担保として認めていないため、融資を受けることは難しい場合があります。

共有持分を担保にする場合、以下の点に注意が必要です。

  • 他の共有者の同意が必要な場合がある
  • 担保評価額が低くなる可能性がある
  • 連帯保証人になることを求められるケースがある

また、共有持分を担保にした場合、将来的に抵当権が実行されると、他の共有者にも影響が及ぶ可能性があります。

そのため、共有者間で十分な話し合いを行い、リスクを理解した上で担保設定を検討することが重要です。

他の共有者の同意が必要な場合がある

共有持分を担保にする際、金融機関によっては他の共有者の同意を求める場合があります。これは、将来的に抵当権が実行された際のリスクを軽減するためです。

同意が必要となる理由としては、以下が挙げられます。

  • 不動産全体の価値を担保評価に反映させるため
  • 抵当権実行時の競売手続きをスムーズに進めるため
  • 共有者間のトラブルを予防するため

同意を得る際のポイントとしては、担保設定の目的と必要性を丁寧に説明することが重要です。また、他の共有者のリスクを最小限に抑える方法を提案し、必要に応じて専門家(弁護士や司法書士)のアドバイスを受けることも効果的。

他の共有者の同意が得られない場合は、共有持分のみを担保として認める金融機関を探すか、別の資金調達方法を検討する必要があります。

他の共有者の同意が得られない場合は、共有持分のみを担保として認める金融機関を探すか、別の資金調達方法を検討する必要があります。

担保評価額が低くなる可能性もある

共有持分を担保にする場合、不動産全体を担保にする場合と比べて担保評価額が低くなる可能性があります。これは主に以下の理由によります。

  • 共有持分のみの売却が困難:共有持分だけを売却することは一般的に難しく、買い手が限られるため
  • 権利関係の複雑さ:他の共有者との関係や将来的な権利調整の可能性があるため
  • 利用制限:共有者全員の同意なしに不動産全体の利用方法を変更できないため

担保評価額が低くなる影響として、融資可能額の減少が挙げられます。担保評価額に応じて融資額が決まるため、借入可能額が少なくなる可能性があります。また、リスクが高いと判断され、金利が高くなりかねません

さらに、担保評価額が低すぎる場合、融資自体が受けられないこともあります。これらの理由から、共有持分を担保にする場合は、事前に金融機関と十分な相談を行い、評価額や融資条件を確認することが重要です。

連帯保証人になることを求められるケースとは

共有持分を担保にする際、金融機関が他の共有者に連帯保証人になることを求めるケースがあります。これは主に、不動産全体を担保として設定する場合や、融資額が大きい場合に発生します。

また、借入人の信用力が不足している場合や、金融機関のリスク管理方針によっても連帯保証人が必要とされるケースも存在します。

連帯保証人になることは、重大な責任を伴います。主債務者が返済不能になった場合、連帯保証人も返済義務を負うことになります。さらに、連帯保証人の信用情報にも融資の記録が残り、将来の借入能力に影響を与える可能性があるでしょう。

このような状況に直面した場合、保証の範囲と責任を十分に理解することが重要。また、主債務者の返済能力を慎重に評価し、必要に応じて限定保証や保証期間の設定を交渉することも検討すべきです。

共有持分を担保にするメリットとデメリット

共有持分を担保にすることには、さまざまなメリットとデメリットがあります。資金調達の選択肢として検討する際は、これらを十分に理解し、自身の状況に照らし合わせて判断することが重要です。共有者間での十分な話し合いも不可欠です。

担保設定は長期的な影響を持つ決断であるため、慎重に検討し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。

担保にするメリット

共有持分を担保にすることには、いくつかの重要なメリットがあります。まず、他の共有者の同意が得られない場合でも、自身の持分のみで融資を受けられる可能性があります。これは、共有不動産全体の売却や担保設定が困難な状況下で、柔軟な資金調達手段となり得ます。

また、無担保ローンと比較して、より有利な条件で融資を受けられるケースも。担保があることでリスクが低減されるため、金利が低くなったり、融資額が大きくなったりする場合があります。

さらに、共有持分を担保にすることで、不動産の所有権を手放すことなく資金を調達できます。これは、将来的に不動産の価値が上昇する可能性がある場合や、感情的な理由で不動産を手放したくない場合に特に有益です。

加えて、共有持分を担保にすることで、他の共有者に影響を与えることなく、自身の資金ニーズに対応できるという利点もあります。これにより、共有者間の関係を維持しつつ、個人的な資金需要を満たすことが可能になります。

担保にするデメリット

一方で、共有持分を担保にすることには無視できないデメリットもあります。最も大きな問題は、担保評価額が低くなる可能性です。共有持分は不動産全体と比べて流動性が低いため、金融機関は保守的な評価を行う傾向があります。これにより、期待していた融資額を得られない可能性があります。

加えて、共有者間の関係に悪影響を及ぼすことも懸念されます。特に、他の共有者の同意なしに担保設定を行った場合、信頼関係が損なわれる恐れがあります。将来的に不動産の管理や処分について意見の相違が生じた際、問題が複雑化する可能性もあります。

さらに、返済が滞った場合のリスクも考慮する必要があります。抵当権が実行されると、自身の持分が競売にかけられる可能性があります。これは、他の共有者にも影響を与え、共有関係全体を不安定にする可能性があります。

最後に、将来的な不動産の利用や処分に制限がかかる可能性もあります。担保設定中は、金融機関の承諾なしに持分を売却したり、不動産全体の用途を変更したりすることが難しくなります。これにより、不動産の有効活用や資産価値の最大化が制限される可能性があります。

共有持分の不動産を担保にする方法

共有持分の不動産を担保にする方法は、状況や目的によって異なります。共有者間の関係性や金融機関の要求事項を考慮しつつ、最適な方法を選択することが重要です。

具体的な方法としては、以下のものが挙げられます。

  • 共有者全員の同意を得る
  • 共有持分のみを担保にする
  • 不動産全体を担保にする

それぞれ個別にみていきましょう。

共有者全員の同意を得る

共有者全員の同意を得ることは、最も安全で確実な方法です。この手法をとる場合、全ての共有者が担保設定に合意し、必要な書類にサインします。同意を得る過程で、融資の目的や返済計画、リスクなどを共有者間で十分に話し合うことが重要です。

同意を得るためには、丁寧な説明と交渉が必要です。融資による利益が共有者全員にもたらされる可能性や、リスクを最小限に抑えるための対策を提示しましょう。また、必要に応じて、担保設定に関する詳細な契約書を作成し、各共有者の権利と責任を明確にすることも大切です。

この方法のメリットは、将来的なトラブルのリスクを大幅に減らせること。全員の合意があれば、不動産全体を担保にできる可能性も高まり、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

共有持分のみを担保にする

共有持分のみを担保にする方法は、他の共有者の同意が得られない場合や、自身の持分だけで十分な融資を受けられる場合に選択されます。この方法では、自身の持分にのみ抵当権を設定します。

この方法なら、他の共有者に影響を与えずに融資を受けられます。また、共有者間の合意形成に時間がかかる場合でも、迅速に資金調達ができる可能性があります。

ただし、共有持分のみを担保にする場合、担保評価額が低くなる可能性があります。

また、金融機関によっては、この形態での融資を受け付けていない場合もあるため、事前に複数の金融機関に相談することが重要です。

不動産全体を担保にする

不動産全体を担保にする方法は、最も高い担保評価額を得られる可能性があります。この方法では、全ての共有者が合意し、不動産全体に抵当権を設定します。

この方法のメリットは、より大きな融資額や有利な条件を得られる可能性が高いことです。また、将来的に不動産を売却する際にも、抵当権の処理がスムーズに行える可能性があります。

ただし、この方法を選択する場合は、全ての共有者の同意が必要不可欠です。また、共有者全員が連帯保証人になることを求められる可能性もあるため、各共有者のリスク負担について十分な話し合いが必要です。

共有持分を担保にする場合の「抵当権設定」に関する注意点

共有持分を担保にする際の抵当権設定には、抵当権の設定範囲を明確にすることが重要です。共有持分のみに抵当権を設定する場合、登記簿上でその旨を明確に記載する必要があります。

加えて、将来的な共有物分割や不動産の売却を考慮に入れることも大切です。抵当権が設定された共有持分が分割や売却された場合、その抵当権がどのように扱われるかを事前に確認し、契約書などに明記しておきましょう。

さらに、他の共有者の権利を侵害しないよう注意する必要があります。例えば、抵当権の実行によって共有持分が競売にかけられた場合、他の共有者の利用権などに影響を与える可能性があります。このような事態を想定し、対応策を事前に検討しておくことが望ましいでしょう。

まとめ

共有名義・共有持分の不動産を担保にする際は、慎重な検討と適切な手続きが不可欠です。他の共有者との関係性を考慮し、全員の同意を得るか、自身の持分のみを担保にするか、不動産全体を担保にするかを選択する必要があります。

また、担保評価額の低下や将来的な不動産利用の制限など、潜在的なデメリットにも注意が必要です。抵当権設定時には、設定範囲の明確化や将来的な共有物分割・売却の可能性も考慮に入れましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸(宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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