共有持分【基礎知識】

敷地権とは?共有持分との違いや計算方法を詳しく解説

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不動産取引における重要な概念の1つでありながら、一般的にはあまり知られていない「敷地権」についての理解を深めることは、賢明な不動産投資や管理に不可欠です。敷地権とは、特にマンションなどの区分所有建物における土地と建物の権利関係を明確にする法的構造を指します。

この記事では、敷地権の基本情報に加え、敷地権割合の計算方法、さらには敷地権にかかる税金の計算などをわかりやすく解説します。

敷地権とは

敷地権とは、マンションなどの区分所有建物において、建物と敷地の権利を分離し、一体化された権利形態を指します。これは、マンションのような一棟の建物内に複数の独立したユニットが存在する場合に関連します。

敷地権割合とは、マンションの敷地に対する所有権の割合を意味します。例えば、内装や面積が同一の10戸のマンションの一戸を所有している場合、敷地権割合は「1/10」となります。

敷地権割合の決まり方

通常、敷地権割合は壁芯面積に基づいて設定されますが、一部の物件では販売価格を基準に定められることもあります。壁芯面積とは、壁の中心線を基準に計算された面積のことを指し、分譲マンションの販売面積に該当します。

これに対し、登記簿に記載されている面積は、内法面積(うちのり)として知られています。敷地権割合は、一般的に各ユニットの壁芯面積を総床面積で割って算出されます。

所有権との違い

敷地権は敷地利用権が建物と分離処分できないように一体化された権利形態です。一方、所有権は敷地利用権の一形態に過ぎません。敷地権は権利の「形態」を、所有権は「権利」そのものを表します。所有権は分離処分の可否にかかわらず、所有を意味する権利です。

敷地権化された所有権は、所有権の一部であり、多くのマンションでは共有持分権(共有の所有権)として表れます。敷地権と所有権は異なる概念ですが、実際にはほぼ同義で使用されることが多く、混用しても大きな問題は生じません。

共有持分との違い

共有持分は、マンションに限らず、不動産の所有を複数人で行う状態を指します。マンションの場合、廊下やエレベータ、水道や電気といったインフラなどの共用部分は区分所有者が共同で所有します。これら共有部分の持ち分も敷地権割合に基づいて所有権の割合が決定されるのが特徴です。

敷地権が登録されていないマンションとは

敷地権は昭和58年の区分所有法の改正によって導入された権利形態です。そのため、昭和58年以前に建てられたマンションの中には敷地権が設定されていないケースが存在します。

しかし、法改正後にマンション管理組合によって敷地権が設定された物件も多くあります。昭和58年以前のマンションが全て敷地権未登録であるわけではありません。

敷地権が設定されていないマンションでは、土地と建物が別々の不動産として扱われるため、売買や相続の際には特に注意が必要です。このようなマンションでは、誤って建物のみを売却するリスクがあるため、土地と建物の所有者や抵当権の内容を一致させておくことがトラブルを防ぐ重要な対策となります。

敷地権割合の固定資産税評価額の計算方法

ここからは、敷地権割合の固定資産税評価額を計算する方法についてみていきましょう。

敷地権に発生する税金について

マンションの敷地利用権が所有権である場合、固定資産税が課税されることがあります。また、都市計画区域内に位置する土地の場合、都市計画税の対象となるケースも存在します。

固定資産税と都市計画税の計算式は以下のとおりです。

  • 固定資産税および都市計画税 = 課税標準 × 税率

基本的に、固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の基本税率は0.3%ですが、自治体によっては異なる場合があります。課税標準額は固定資産税評価額に基づいて計算されます。

固定資産税納税通知書は毎年所有者に送付され、その中には「宅地」や「居宅」などの分類が記載されています。

宅地部分に記載されている固定資産税評価額が、敷地権に関連する税金の計算基準となります。また、固定資産税評価額が「億単位」である場合は、通常、マンション全体の敷地の評価額を指しているのが一般的です。

敷地権の評価額の決まり方

敷地権の評価額を計算する際は、まずマンション全体の敷地評価額を基にします。この評価額に敷地権の割合を乗じて、個々の敷地権の評価額を算出します。

  • 敷地権の評価額 = マンション全体敷地の評価額 × 敷地権割合

この評価額を使って、固定資産税の課税標準額を求めます。この課税標準額は税率を適用して税額を算出するための基準数値です。

住宅用地の軽減措置が適用される際、「小規模住宅用地」「一般住宅用地」という2つのカテゴリがあります。小規模住宅用地は、住宅1戸につき200平米までの部分を指し、一般住宅用地は住宅1戸につき200平米を超える部分を指します。

この軽減措置により、固定資産税評価額に特定の係数が適用されて、課税標準額が決定されます。特に、マンションの場合は多くの戸数により、敷地全体が小規模住宅用地に該当することが一般的です。

敷地には小規模宅地の特例も適用可能

小規模宅地の特例は、相続財産の一部として、特定の敷地について80%または50%の減額が適用される制度です。

この特例は敷地権の評価額にのみ影響を与え、建物の相続税評価額には変化がないため、敷地権のみの相続税評価額が減額される特例となります。

敷地権の相続税評価額の計算方法

敷地権の相続税評価額を求めるには、まずマンション全体の敷地を評価する必要があります。この評価額に登記簿謄本に記載された敷地権割合を乗じて、個々の敷地権の評価額を算出しましょう。

  • マンション敷地の評価額 = マンション全体敷地の評価額 × 敷地権割合

この評価額は、マンションの敷地に隣接する相続税路線価を用いて算出されます。相続税路線価は平米当たりの金額で示されます。

登記簿謄本に敷地全体の面積が記載されているため、まず全体面積に路線価を乗じて敷地全体の評価額を出し、その後敷地権割合を乗じて個々の敷地権の概算評価額を導き出します。

まとめ

敷地権は不動産取引や相続時において非常に重要な要素であり、特に昭和58年以前のマンションでは敷地権の未登録が影響を及ぼす可能性があります。固定資産税評価額の計算における住宅用地の軽減措置や、相続税計算時の小規模宅地の特例など、複雑な税金の計算方法も理解することが重要です。

不動産取引や相続に関わる際は、これらのポイントを踏まえた上で、詳細なアドバイスやサポートが必要な場合は、不動産や税務の専門家に相談しましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸(宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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